伝わる資料を作る上で欠かせない「図解」の技術。
図を上手に活用することは、読み手への伝達効率が上がる大きなメリットがありますので、ぜひ上手に活用したいものです。
構造化したものを視覚的に図解することを「チャート化」と言います。
グラフ ・・・ 数量の関係を図で表現したもの
チャート ・・・ 論理を図で表現したもの
この記事では、チャートの選び方にお伝えします。グラフについては別記事「正しく使い分ける!グラフの種類と圧倒的に伝わるグラフ11の改善点」を参考にしてください。
ここでは、伝わる図を作っていただけるよう、チャートの種類とそれぞれの適正について解説していきます。
紹介するチャートの分類方法やそれぞれの適正について別の意見もあるかもしれませんが「資料で伝える」という目的に対して、シンプルで理解しやすく、活用しやすい整理の仕方だと思っています。
最後まで読み込んで頂ければ、「得意なこと=図(チャート)作り」となって頂けるでしょう。ぜひ、参考にしてください。
1. 必ず押さえておくべきチャート7種
さっそく結論ですが、押さえておくべきチャート7種とどのような目的で利用すべきかについて以下に図でまとめました。
チャートを利用する目的は、わかりにくいものをわかりやすくするためであり、チャート利用を検討する際は、「商品の特徴をわかりやすく比較して示したい」「複雑な人間関係を示したい」等なんらかの目的を持っているはずです。
あなたが何を伝えたいか(目的)と対比させる形で最適なチャートを押さえておきましょう。
それでは、それぞれの詳細について例を交えて解説していきます。
2. 特徴を比較して伝える!2つのチャート
2-1. 2軸でシンプルに比較を表現するには座標型のチャート
シンプルに2軸で特徴を表現したい場合は、座標型のチャートを使いましょう。
座標型のチャートとは、横軸と縦軸の2軸で表現するチャートです。個々の項目の全体における位置関係や、相対的な情報を比較整理するのに適しています。
例えば、商品の特徴を2軸で評価して、どの商品を選ぶべきかの選択をしてもらう場合等に活用できるでしょう。
【特徴を2軸で比較整理する例】
縦軸に効果、横軸に価格を置いて、それぞれの商品が位置関係にあるかを示した例です。
このようにチャート化することで、言葉で説明するよりも、その特徴をビジュアルで伝えることができます。
2-2. 複数もしくは1軸で比較を表現するには表型のチャート
2軸でシンプルに特徴を表現するには、座標型のチャートが適していますが、特徴として表現したい要素は2つとは限りません。
4つの要素で比較したい場合もありますし、1つしかない場合もあるでしょう。
このように比較を目的とした場合でも、座標型が使えない場合は、表型のチャートを使うとわかりやすく表現することができます。
例えば、カーケア商品のワックスを比較する場合、「効果」という言葉の意味は、一般的にイメージできる”きれいな仕上がり”以外に、持続性、速乾性といった細かな要素に細分化できます。
このように2軸で表現しきれない場合には、表型のチャートが活用できます。
【3つ以上の特徴で比較整理する例】
また、性能がほぼ一緒で、単に価格を比較したい場合も、表型のチャートで表現しましょう。
【一つの特徴を比較整理する例】
3. 相互の関係性を示す!3つのチャート
3-1. 細分化して階層構造を示すには階層型のチャート
親子関係等の階段型の関係性を示すには、階層型のチャートを利用しましょう。
階層型のチャートとは、要素を枝分かれさせたものであり、細分化して階層構造を示す場合に適しています。
例えば、問題点の要素を分解して、根本の原因を示したい場合や、なぜそう主張するかの細かな理由を示したい場合に有効です。
【根本原因を示す例】
【なぜそう主張するかの理由を示す例】
3-2. 双方向の関係性を示すには相関型のチャート
関係が、階段型ではなく、双方向の関係にある場合は、相関型のチャートを利用しましょう。
相関型のチャートとは、要素間の関係を結んだもので、相互の関係を示す場合に適しています。
階層型の矢印は一方通行なのに対し、相関型の矢印は双方向に結ばれます。
例えば、相互にどのような関係性であるかを示したい場合に有効な図です。また、それぞれの役割を明確に示したい場合にも有効です。
【相互の関係性を示す例】
3-3. かぶりや違いの関係性を示すには集合型のチャート
集合型のチャートとは、要素をグループに分けて、そのかぶりや違いを示す場合に適した図です。満たすべき条件を示したい場合や、偏りを示す場合に有効です。
【満たすべき条件を示す例】
【偏りを示す例】
4. 流れを表現する!2つのチャート
4-1. 時間軸での変化を示すには段階型のチャート
段階型のチャーtとは、要素を時間の流れで順に並べた図で、時系列の変化を示す場合に適した図です。 ゴールまでの道筋を示す場合に活用できるでしょう。
【ゴールまでの道筋を示す例】
4-2. 周期的な流れを示すなら循環型のチャート
循環型のチャートとは、要素の流れをサイクルで並べた図で、一過性のものではない時系列の変化を示す場合に適した図です。
例えば、改善サイクルの手順を示す場合に有効です。
【改善サイクルの手順を示す例】
さいごに
見やすい資料を作るために、チャートを用いることはもちろん手間も時間もかかります。
せっかく時間をかけて作っても正しく利用しないと、見やすさは増さず、むしろわかりにくい資料が出来上がってしまう可能性すらあります。
グラフ等を利用する場合でも共通することですが、チャートを利用する際にもっとも重要なことは、このチャートで「何を伝えたいのか」「何を表現したいのか」を明確にすることです。
特徴を表現したいなら「座標型」「表型」、相互の関係性を示したいなら「階層型」「相関型」「集合型」、流れを示したいなら「段階型」「循環型」です。
はじめに整理した表を参考に目的別に使うべきチャートを理解し、ぜひ実践してください。